こんな雨の日には     .....05/30

   

ああ、世界はとてつもなく広いと言うのに

私はこの狭い白い部屋で迷子になっている

   

探していたはずのものが何だったのかすっかり忘れてしまっていて

一体何処から来て何処へ行けば良いのかも分からなくなってしまった

   

ポケットの中を探してみてもチョコレートは見つからなくて

金色の包み紙がちくり、と私の指先をいぢわるに刺した

   

傷つくことの恐怖から逃れるために沢山傷つけた

きっとこれは私のそんなわがままに対する罰だ

   

笑っていても本当は不安で自分が壊れそうだった

それは自分が持っている自信の半分以上が虚勢だったから

   

私の胸がこんなにも痛んで苦しいのは

天に昇った世界中のかなしみが雨と一緒に降ってきているからに違いない

空を仰げば灰色の雲が全てのかがやきを隠していて

冷えきった私の身体は余計な体温まで求めてしまう

   

湯気が揺れる温かな紅茶に

スプーン一杯の砂糖と涙を

この世の全てがあの思い出に繋がるから

わたしはもう何処へも逃げられない